雨夜の品定め


 きのうは、一日、憂鬱な雨でしたね。
 京都で仕事を持つ、大学時代の友人Y子ちゃんが東京に来ているというので、銀座に会いに行った。
 Y子ちゃんの仕事が終わって、スペインバルでテーブルを囲むことに。
 もうひとりSさんは、博多から来ていた。最初冗談かと思ったけれど、ほんとにこのために上京してきたらしい。
 Sさんとは、大学時代、”ひとっことも”口を聞いたことがないのだが、近年の「同窓会フィーバー」で顔を合わせるようになり、少しずつ距離が縮まっている、という状態である。
 わたしと同様、京都の映画館でモギリのアルバイトをしていたK田さんは、風邪でダウン、欠席となった。残念なことでした、次回またね。   

 さて三人は、白ワインを飲みながら、ひとしきり、「男子」の噂。
 誰それは課長らしい、誰それは部長らしい、ほほうすごいやないかと盛り上がる。
 長い人生、逆風、横っ風、ときにはトルネード……と予測のつかない道程で、あるポジションにつくことは容易でないだろうと、「女子」たちは、しみじみ思うんである。
 とそこでY子ちゃんが、
「○○くんは、ハンフツハンキョウらしいえ~」
 と決め球を投げてきた。その四文字熟語のような語感をたたえた言葉は、
「半仏半京」
 であった。事業家であるその彼は、フランスと京都にそれぞれ家を持っていて、始終行き来をしている、という意味だったのである。
 知ってました? みなさん。しらんでしょ。
 半仏半京……。

 関西の空気を吸って”精神性”を育んできた元女子大生は、しかし、これでは終わらない。
 勝ち組らしき名前をあげては賞賛しつつも、
「でもあのコ、おもろいか?」
「おもんない」
「おもんないなあ」
 と最終評価は、この言葉でくくられるんである。
 まるで、フィギュアスケートの技術点と芸術点みたいだ。
 芸術点で一気に上位に浮上してくる選手もいて、
「○○くん、相変わらず、おもろいよねえ」
「うん、おもろいおもろい」
 と元女子大生たちは、楽しくなっていく。
 この「おもろい」とは、ギャグを飛ばすとか物まねを披露する、とか、そんな「ぺらん」とした意味ではない。
 「おもろい」は、さまざまなニュアンスを包含していて、人生を重ねるにつれて、そのニュアンスは複雑化していくので、わたしはあえてここで、自分の貧しいボキャブラリーで定義したいとは思わない(たいそうになってきたな)。
 ま、それぐらい、「おもろい」ってことは大事なんですな。

 雨夜の品定めで、あっという間に時間が経った。
 なんと3時間あまり、スペインバルはわたしたち以外の客を迎えていなかったけど、大丈夫かいな。
 ホール係の若い女性が、「聞こうと思わなくても聞こえてしまいます」的な距離で、わたしたちのことを眺めていたけれど、あまり楽しんでなさそうな風情が、心残りである。
 あたしら、おもろなかった?
 


 


 

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